証取委、競馬ファンドのエプソム愛馬会を行政処分勧告

証券取引等監視委員会は5月21日、競馬ファンドを運営するエプソム愛馬会とジャパンホースマンクラブを金融庁に行政処分勧告をしたと発表した。

ファンドの資産を分けて管理をしていなかったほか、投資家へ支払うべく配当金を自社の借入金の返済に回すなどの管理をしていた。

以下勧告についての抜粋

平成22年5月21日

証券取引等監視委員会

1.勧告の内容

株式会社エプソム愛馬会、資本金41百万円、役職員4名、第二種金融商品取引業登録)及び株式会社ジャパンホースマンクラブ、資本金27百万円、役職員4名、第二種金融商品取引業登録)を検査した結果、下記のとおり、これらの金融商品取引業者に係る法令違反等の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

2.事実関係

株式会社エプソム愛馬会(以下「愛馬会」という。)及び株式会社ジャパンホースマンクラブ(以下「JH社」という。二社を併せて「両社」という。)は、愛馬会が競走用馬を取得し、当該競走用馬への出資を投資者から募り、当該競走用馬をJH社に現物出資する。JH社は、JH社の名において競馬に出走させて賞金等を獲得、獲得した賞金等を愛馬会へ配当し、愛馬会が、出資の拠出口数に応じて出資者(以下「会員」という。)に分配するとした匿名組合契約(以下「ファンド」という。)を一体で運営している。
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(1) 分別管理が確保されていない状況で私募を行う行為

両社は、出資金の分別管理の確保のために、定款等により分別管理に関する規定を設けていない。

また、愛馬会は、愛馬会の収益である入会金等とファンドの財産である維持費出資金を同一の口座において混在させているなど、愛馬会固有の財産とファンドの財産の分別した管理が確保されていない状況で、ファンドの持分の私募を行っている。

上記(1)のとおり、両社が行った行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第40条の3に違反するものと認められる。
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(2) 契約締結前交付書面等の記載内容とは異なる業務運営の状況
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① 賞金管理の不備

JH社取締役兼愛馬会統括部長(以下「JH社取締役」という。)は、JH社代表取締役社長兼愛馬会取締役(以下「JH社社長」という。)の指示により、JH社の賞金等受取口座から金銭を出金し、直接、又はJH社社長の個人口座を経由し、両社の金融機関からの借入金の返済、維持費出資金で支払うべき厩舎、牧場等への支払い、両社に対するJH社社長個人からの借入金の返済などに充当されていた。

愛馬会自身も会員であることから、上記の出金が、愛馬会自身が受取るべき分配分であったとしても、各々の出金は、分配金の支払時期とは関係なく、また、出金の都度、愛馬会自身の分配金を計算した形跡もなく、出金時期、出金額とも「賞金等を出金する理由」としては具体的な根拠がない。

加えて、JH社社長個人からの借入金については、同社長個人との間の消費貸借契約書等が存在せず、借入金額、借入金利、返済金額、返済時期が不明であり、JH社取締役によるJH社の賞金等受取口座からの出金は具体的理由のある出金とは認められない状況にある。

賞金等は「契約締結前(時)交付書面」(以下「交付書面」という。)の定めのとおり、分配の時期までは金融機関等で適切に管理され、愛馬会は、会員として分配を受けた後、自らの借入金の返済等の支払いに充当すべきであり、JH社は、交付書面において規定されたとおりに賞金等の管理を行っているとは認められず、賞金等の管理に不備があると認められる。
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② 維持費出資金の目的外使用及び厩舎等への預託料の滞納

愛馬会は、競走用馬の飼養管理に要する費用として、会員から「維持費出資金」を受領しているが、会員から入金された維持費出資金が顧客への分配金、借入金の返済及び両社の会社経費に充当されていた。

このように、維持費出資金が目的外に使用されている一方で、愛馬会は、平成22年2月10日現在、ファンドに係る費用の厩舎等への支払いを滞納した状態にあり、これにより、厩舎等の管理委託先において、ファンド資産である競走用馬の維持管理に支障が生じ、その結果、投資者の利益を害するおそれがあると認められる。
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③ 交付書面の説明とは異なる維持費出資金の受領

愛馬会は、維持費出資金について、交付書面において「会員は、入会時期にかかわらず、出資対象となった競走用馬の1歳11月分以降の維持管理費を維持費出資金の形で負担する義務がある」旨の説明を行っている。

しかしながら、愛馬会は、多数の競走用馬について、1歳11月分より前の維持管理費を受領している事例が認められており、愛馬会は、交付書面等による説明とは異なる維持費出資金を会員から受領している状況が認められた。
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④ 競走用馬の無償譲渡

JH社は、中央競馬での賞金等の獲得が困難と判断した競走用馬について、ファンドの終了に際し、当該競走用馬を地方競馬の馬主資格を持つJH社取締役に対して、実際には適正な評価をすることなく、一律に「無償」で譲渡している。

譲渡の対象となった競走用馬はファンドの財産であることを考慮すると、公正な評価に基づく適正な価格で売却し、売却代金は、当該ファンドの会員に分配すべきものであると考えられるが、JH社は、その価値を検討することなく全て一律無償で譲渡している状況が認められた。
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(3) 法令遵守態勢の欠如

両社は、平成21年10月13日を検査基準日とした関東財務局の検査において、直ちに検査に応じなければならないところ、検査官の入室を拒み、無予告検査への抗議を繰り返すなど、直ちに検査に応じず、検査の受忍義務に悖る対応を行った。

当該行為は、両社が顧問税理士の指南を鵜呑みにしたことが原因であったとしているが、両社は、金融商品取引業者として、直ちに検査に応じなければならないという検査の受忍義務など遵守すべき法令を自ら正しく認識し、その遵守に努めるべきところ、これを怠っており、両社においては、法令遵守態勢が根本的に欠如している。

上記(2)及び(3)のとおり、両社の業務の運営の状況は、金商法第51条に規定する「金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、投資者保護のため必要な改善を図る必要がある業務の状況」にあると認められる。

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